中納 徹 著 究極のドラテク本 レーシングドライビング 12

速度を保つバランススロットル

コーナーにおけるドライバーの作業の中でも、バランススロットルとは何かを良く聞かれます。バランススロットルには大きく分けて二つの意味がありますが、そのうちの一つ、速度を保つために使うバランススロットルを簡単に説明します。

コーナーを旋回し車の向きを変える際には、なるべく半径が大きくなる様にしながら弧に沿うようなレーシングラインをトレースします。

その弧の形状が一筆書きで、コーナー進入からコーナー出口に掛けて弧の半径が一定の場合、その弧に載るようにライン取りをすれば、限界の旋回スピードも一定になると想定できますが、旋回中はタイヤグリップの抵抗で速度が落ちますし、アクセルをオフする事でも旋回速度はどんどん落ちて行きます。

しかしながら、この状況で適当な量のアクセルを開けると、想定通りに一定の旋回スピードを保つ事が出来るようになります。これを速度を保つためのバランススロットルとして理解して下さい。

バランススロットルによって旋回中の速度を限界に保つ事は直線へ向けての加速開始速度を高く保つという事になり、状況によっては大きなアドバンテージになります。

一方でバランススロットルには速度を保つ以上に大切な要素もありますので、より深く掘っていくと、バランススロットル=旋回中に一定のアクセルを入れる事とひとくくりで思い込まない事も必要になってきます。

書籍「レーシングドライビング」では、14ページに渡り、図解を交えてバランススロットルを解説しています。

モータースポーツで一番大切なこと
01 脳と体の時間差
02 体と車(タイヤ)の距離
03 目から得る情報
04 心と体の葛藤
05 座席ポジション
06 タイヤグリップをイメージ化する
07 荷重移動のイメージ
08 スキッドとは
09 直線で過ごす時間
10 「最速のコーナーリング」と「最速のストレート」
11 コーナーにおけるドライバーの作業
12 バランススロットル