中納 徹 著 究極のドラテク本 レーシングドライビング 01

脳で決定してから体がアクションを起こすまでの時間差

例えば手で何かを掴もうとする時、瞬間的に手が掴むというアクションをしているように感じますが、実際はそうではなく、脳が手に何かを掴むように指示を出してから実際に手が動くまでの間には時間差があるはずです。そして、高速で車が移動している間も、この時間差は否応なしに存在しますので、脳が決定した瞬間から手が実際に動作を起こす間も車は相当な距離を移動しているはずです。

予測や経験に基づく行動が必要なレーシングドライビング

そういう訳で極端な言い方をすると、レーシングドライビングでは数十メートル先で車が陥るであろう状態を予測し、前以って脳で次の身体的なアクションを決定する事が必要です。その予測というものは、ドライバーの過去の経験に基づいて成されるものですので、レーシングドライビングはドライバーの経験に大きく頼ったものと言えます。

走りの引き出しを増やし、その引き出しを整理し、利用する

運転技術を向上させることに置いては、経験を積んでいく事で走りの引き出しを増やす事が大きな意味を持ちますし、それらの引き出しを如何にして整理し、利用するかが、ドライバーによる予測の精度を上げる唯一の方法と考えられます。

モータースポーツで一番大切なこと
01 脳と体の時間差
02 体と車(タイヤ)の距離
03 目から得る情報
04 心と体の葛藤
05 座席ポジション
06 タイヤグリップをイメージ化する
07 荷重移動のイメージ
08 スキッドとは
09 直線で過ごす時間
10 「最速のコーナーリング」と「最速のストレート」
11 コーナーにおけるドライバーの作業
12 バランススロットル