接地面での横滑り
タイヤと路面の接地面をイギリスではコンパクトパッチと呼びます。
斜めにした下敷きの上に消しゴムを置いた際に消しゴムが滑り落ちない状態がありますが、この下敷きと消しゴムの接地面をスタティックコンタクト(静止接点)と呼び、スタティックフリクション(静止摩擦)によって滑り落ちない状態が維持されています。
この下敷きの角度をどんどんと急にしていくと、ある時点で消しゴムは滑り落ちるはずです。この滑り落ちる状態をスキッドと呼びます。
この状態を車とタイヤの関係に置き換えると、皆さんがご存知のドリフトはスキッドという事になりますね。コーナーの進入でブレーキがロックして白煙が上がっている状態もスキッドと言えそうですし、コーナーを旋回中にフロントが外へ外へ流れていく状態(アンダーステア)もスキッドと言えそうです。
このようにスキッドは様々な状態を指しますが、全ての状態において共通している事は、コンパクトパッチで横滑りが起きているという事です。
アンダーステア。レーシングスピードで走っていて、タイヤグリップの限界付近で左右フロントタイヤでスキッドが起こり、左右リアタイヤでスキッドが起こっていない状態です。
オーバーステア。レーシングスピードで走っていて、タイヤグリップの限界付近で左右リアタイヤでスキッドが起こり、左右フロントタイヤでスキッドが起こっていない状態です。
他にもスキッドの種類はありますが、詳しくは書籍「レーシングドライビング」にてご確認頂きたいと思います。書籍ではスキッドの原因についても考察していき、スキッドを理解し、感じる事の大切さを書かせて頂きました。
タイヤグリップの限界付近を使い続けるレーシングドライビングではドライバー自身がスキッドを感じる精度の高いセンサーになる必要があります。アイスドライビングやジムカーナ、ドリフトのスキルの重要性は明白ですね。
モータースポーツで一番大切なこと
01 脳と体の時間差
02 体と車(タイヤ)の距離
03 目から得る情報
04 心と体の葛藤
05 座席ポジション
06 タイヤグリップをイメージ化する
07 荷重移動のイメージ
08 スキッドとは
09 直線で過ごす時間
10 「最速のコーナーリング」と「最速のストレート」
11 コーナーにおけるドライバーの作業
12 バランススロットル