サーキット初心者必見!車で初めてサーキットを走るために知っておきたい8つのこと 第4回 「ブレーキング」

3種類のブレーキング

レーシングドライビングにおけるブレーキングは、おおまかに分けて以下の3種類があると中納は考えています。

  1. 安全のためのブレーキング
  2. 止めるためのブレーキング
  3. 更に速く走るためのブレーキング (曲げるためのブレーキ、トレイルブレーキングなどとも呼ばれます)

ここではその中でも「安全のためのブレーキング」と「止めるためのブレーキング」について書きたいと思います。

安全のためのブレーキング

サーキットを走っているとやむを得ずスピンをすることがあります。

スピンをした際に最も大切な事はスピンした車を時速ゼロに落とし、完全停車させることです。

これはサーキットのコース外に敷き詰められたグラベル(砂利)やタイヤバリア、壁などにスピンをした車両が当たらないようにするためという理由もありますが

スピンした車両がブレーキをしっかり掛け続けずレコードライン上(基本のレーシングライン)へ戻って来る事で後続車両と接触事故を起こす事態を避けるためでもあります。

止めるためのブレーキング

場所

「止めるためのブレーキング」を使う場所はBP(ブレーキングポイント)からTP(ターニングポイント)の間ずっとです。

そして、「止めるためのブレーキング」をより多く求められる状況は、

BP(ブレーキングポイント)からTP(ターニングポイント)までに落とすべき速度が大きい時となります。

例えば時速200キロから時速50キロに落とすコーナーなどがその一例です。

初心者にありがちな誤り

意外とありがちなサーキット初心者の間違いとして挙げられる事が1点あります。(右足アクセル、右足ブレーキの場合)

いざ「止めるためのブレーキング」をBP(ブレーキングポイント)から始めようとする時に、

アクセルペダルからブレーキペダルへの右足の移動スピードが遅いという事です。

街中での運転とは違い、スピード域が高いサーキット走行ではアクセルオフによる減速だけでは全く不十分ですので

右足が何もしない「空想距離」をなくすように、アクセルペダルからブレーキペダルへの右足の移動を早くしましょう(勿論、まずは踏み外さない程度にです)

ブレーキペダルをしっかり踏む

ブレーキペダルを強く踏むという表現は、基準とする踏む力に大きく個人差があるので非常に難しいのですが

例えばプロドライバーに比べた場合、多くのサーキット初心者はブレーキペダルをものすごく弱い力で踏む傾向があります。

状況次第では、初心者の方がこれぐらいだろうと思う踏む力の、3倍ぐらいの力が必要な場合も少なくはありません。

車や路面により、求められる力は大きく変わりますので慎重に取り組んで頂く必要がありますが、概ね、ブレーキペダルは思ったよりも強く踏むべきと認識してください。

*注 ただし、昨今の高級スポーツカーではブレーキペダルをやさしく踏むだけでかなりガッツリとブレーキが効く場合が少なくありません。そのような場合はプロの感覚から言って、かなり弱くブレーキペダルを踏むだけで、ほぼマックスの「止めるブレーキング」が可能という事もあります。ただただブレーキペダルを強く踏めばよいという事ではない事も理解してください

ブレーキペダルをしっかり踏む時間

サーキット初心者の方が強くブレーキペダルを踏めないと書きましたが、実は、BP(ブレーキングポイント)から強くブレーキペダルを踏む事はある程度の努力で出来るようになります。

それよりももっと難しいことは、「長い時間」「長い距離(長くて150mぐらいでしょうか)」に渡って強くブレーキペダルを踏む事です。

沢山速度を落とす必要がある状況で、安全を確保しながら徐々に取り組むようにしましょう。

エンジンブレーキではなくフットブレーキを使う

マニュアル車、オートマ車を問わず、私も街中の運転ではエンジンブレーキを多用します。なぜならその方がスムーズかつ安全に走れる状況があるからです。

しかしながら「止めるためのブレーキング」ではエンジンブレーキが役立つことはほとんどありません(特にサーキット初心者はです)。

街中とサーキットで求められる速度域は全く違いますし、それに伴い求められる減速の量も全く違います。

「止めるブレーキング」はフットブレーキがメインです。ブレーキペダルを踏むことでの減速に集中しましょう。

ブレーキングはプロ同士であっても、勝負を左右するほんのわずかな差を生むためにドライバー生涯を通じて切磋琢磨するぐらい大切かつ難しいレーシングドライビング操作です。

サーキット初心者やサーキット走行の経験が浅い方は無理をし過ぎないように気をつけつつ、徐々にトライ、改善をしていくようにしましょう。

サーキット初心者必見!車で初めてサーキットを走るために知っておきたい8つのこと 第4回 「ブレーキング」は以上になります。

次回は サーキット初心者必見!車で初めてサーキットを走るために知っておきたい8つのこと 第5回 「高速コーナーと低速コーナー」 になります。

良いレーシングドライビングライフを!!