角田選手のライン取りの特徴 バーレーン

2021年のF1で大暴れしてくれるであろう角田裕毅選手のドライビングから学べることを取り上げたいと思います。

コーナーの中と出口を最適化するレーシングライン

テレビ画面越しで一番わかりやすい角田選手のドライビングの特徴はそのレーシングラインです。

その特徴的なレーシングラインが何を目指しているのかを考察してみると

  1. ライバルよりも時速0.1キロでも速く直線のフル加速を開始したい
  2. そのためには車が苦手とするコーナーの旋回時間と旋回距離を短く、旋回半径を大きくしたい

この2点を重視していると思います。

1については時速0.1キロでもライバルよりも加速開始が早ければ

相当長い時間、時速0.1キロのゲインを享受できるからです。

2については、F1であろうとレーシングカートであろうと

コーナーを曲がるのは直線をまっすぐ走るよりも苦手な乗り物ですので

中心角が90度のコーナーよりも

90.1度など、0.1度でも曲がり度? 旋回の量が少ないコーナーの方が

車を速く走らせられるからです。

ワイドな進入ライン

ライバルよりも1cmでもアウト一杯から進入

サーキットを走るために知っておきたい8つのこと でも説明しましたが

コーナーリングのフェイズの中でも

ターニングポイントをライバル以上にアウト一杯まで持っていくのが角田選手の特徴です。

コーナー進入のアウト側の縁石をまたぎながら進入するコーナーなどでは非常に分かりやすく確認できるのですが

ライバルよりも例えば1cmだけでもアウト側に車をポジショニングできれば

ローテイション(旋回)ポイントで変えなければならない旋回量は減る事になります。

そして落とす速度も最小限で済むことになり、ライバルよりも少しだけブレーキの開始を遅らせられる可能性が高まります。

F1デビュー戦のバーレーンではこのコーナーに注目

このブログを書いている3時間後ぐらいに角田選手のF1デビュー戦となるフリープラクティス1が始まるのですが

開幕戦の舞台であるバーレーンですと、以下の画像のオレンジの丸を付けた

Tsunoda Bahrain Wide Entry Lines 角田選手の特徴であるワイドな進入ライン取り

ターン4、ターン9、ターン14などでワイドなライン取りが確認しやすいです。

その中でもターン9とターン14は確認しやすいですね。

角田選手のターン14のコーナーの中間と出口の速さは

(先日の公式テスト走行を見る限り)F1ドライバーの中でも少し抜けて巧いかなという感じがします。

ワイドな進入ラインのデメリット

路面や縁石が汚れている

ライバルよりもワイドなライン取りを選ぶという事は

ライバルが余り走っていない場所を通る事を意味します。

一般的に車があまり走らない場所というのは

みんなが通るいわゆるレーシングラインよりも路面が汚れている可能性が高いため

様子を見ながら少しずつワイドな進入を試すことや

事前にサーキットウォークをして縁石や路面の状態を確認するなど

頭を使い、慎重に取り組む必要があります。

単純に遠回りになる

ライバルよりもワイドな進入ラインを取るためには

その手前のコーナーから考えると

ライバルよりも長い距離を走る必要があります。

最短距離を走ることもレーシングドライビングでは大切な要素のひとつですので

ターニングポイントをワイドにとる事だけに集中せずに

手前のコーナーの出口から次のコーナーが始まっている意識を持って

いかにターニングポイントまで走るかを考え、実行する必要があります。

レースでは抜かれやすい

ライバルとの車の性能差が小さいカテゴリーでは

イン側を大きく空けるワイドな進入ラインはディフェンス力が下がり

後方を走るライバルに抜かれやすくなるデメリットがあります。

F1のようにそもそも追い抜きが難しいカテゴリーでしたら

そこまで悪い影響はないと思いますが

自身の出場するカテゴリーの接戦度を考えつつ

ワイドな進入ラインを導入する必要があります。

角田選手のワイドな進入ラインに注目を!

自分自身のライン取りを俯瞰的に見る事はとても難しいので

まずは速いドライバーのライン取りをメジャーレースのテレビ放映、YouTube動画などで確認し

脳内でイメージを湧かせましょう。

サーキットで実際に試す際は、以上のことに注意しながら

ワイドな進入ラインは自身のドライビングスタイルに合っているのか

車に合っているのかを是非考察してみてください

では素晴らしいレーシングドライビングライフを!