シルバーストーンクラシックを盛り上げるジェントルマンレーサーのお話

2016年のシルバーストーンクラシック(Silverstone Classic)も

「おそらく」

無事に終了しました。

因みに、シルバーストーンクラシックというイベントは

イギリスのシルバーストーンというサーキットで

1年に一度開催される

とっても素敵な

クラシックレーシングカーによる

クラシックレーシングカーオーナーのための

公式な自動車レースです。

ここ数年の盛り上がりは尋常ではなく

未だに人気ですが、マンネリ気味の「F1」や

未だに人気の、企画自体が規格外の「モトGP」を差し置きまして

シルバーストーンサーキットとしては一番「観客動員数が伸びている」イベントです

そもそも

モータースポーツというものは

やもしますと何の意味もない

自己満足の象徴のようなお遊びなのですが

シルバーストーンクラシックにおきましては

選ばれし方々にしか手に入れられない世にも貴重なレーシングカーで

ガチなレーシングをやろうじゃないかという

(尊敬の念を込めまして)お馬鹿様達が集う自動車レースとなっております。

関西弁で言うところの

「大事にガレージへしまっとけよー」というお車で全開でレースをして

誰が一番格好良かったか競いましょう、という企画です。

面白そうでしょ。いえ面白くないわけがないのです。

シルバーストーンから依頼のお仕事で

早起きして行った甲斐がございました。

このシルバーストーンクラシックで

VIPをお運びする運転手をしていたのですが

午後3時ぐらいでしょうか

レーシングスーツを着た

クラシックレーシングカーのオーナー(紳士)が歩み寄って来ました。

(以下、ノンフィクションです)

紳士 「うちのピットまで載せてってくれない?」

なかのう 「(レーシングスーツを着ていてピットまでの足が無いという事は、マシントラブルでレースをリタイヤしたか、ドライバーエラーで車を壊してピットへ戻れないという事ね) いいよ、もちろん」

紳士 「おーありがたい!」

なかのう 「ピット何番? (サーキットのピットは番号が打たれています)」

紳士 「xx番」

なかのう 「OK …」

紳士 「…」

なかのう 「…」

紳士 「メディカルチェックでね。メディカルって場所遠いやん?」(関西弁ではないですが雰囲気を出すため…)

なかのう 「そうね」

紳士 「ドクターに会いに行っとけ言われて…」

なかのう 「そうなん」

紳士 「…」

なかのう 「体大丈夫やったん?」

紳士 「大丈夫、大丈夫!!」

なかのう 「よかったやん」

紳士 「おぉう。そうそう。よかったわ」

なかのう 「たっぶん、壊れてるよね、お車」

紳士 「Written off (グッチャグチャ)」

なかのう 「あ、そっかそっかぁ」

紳士 「…」

なかのう 「…」

紳士 「スターティンググリッドでな~。ストール(エンスト)してなぁ」

なかのう 「(うっわ、一番痛いパターンやん) そうなんや」

紳士 「そうそう」

なかのう 「(グリッドが前の方じゃなかったことを祈りながら)何番手スタートよ?」

紳士 「2番手!」

なかのう 「(それ最悪のパターンや~ん) あ、そうなんや~。うんうん」

紳士 「エンストこいてるとこに、どっかんどっかん突っ込んでこられてさぁ」

なかのう 「(やっぱり…) ええ~」

紳士 「車はめちゃめちゃやわ」

なかのう 「…」

紳士 「…」

なかのう 「ま、体が無事そうで良かったや~ん?」

紳士 「そうやね。そう思わんとね。車は直せるもんね」

なかのう 「そうそう。そうよ。(ホンマに直せる状態かな?)」

紳士 「うっわ。マジ。ピットの真ん前まで行ってくれるん。マジで。うれし~」

なかのう 「My pleasure」

紳士 「おぉぉぉ、ありがとう。めちゃ助かったわ~」

と仰りながら、その紳士は親指を立ててご自分のピットへ歩いて帰って行かれました。

冒頭に

2016年のシルバーストーンクラシック(Silverstone Classic)も

「おそらく」

無事に終了しました

と書いたのですが

そうなんです、この紳士のように残念ながら車を壊された方は他にも多数おられるんです。

ものすごく高価で貴重なレーシングカーが

ですから「おそらく」なんです。

そんなシルバーストーンクラシックが

そんなお馬鹿様達が

今日もまた一段と好きになりました。