サーキット走行では、事故やスピンを引き起こす「やってはいけないドラテク」が存在します。本記事では、特に注意が必要な8つのドラテクを紹介し、それぞれの改善方法についても解説します。
今回のお題
本記事では、サーキット走行における「やってはいけないドラテク」を8つ紹介します。各ドラテクの特徴と改善方法についても触れ、読者が自らのドライビングスキルを向上させる手助けをします。
導入
サーキット走行は、スピードと技術を駆使して走るため、注意が必要です。特に初心者は、知らず知らずのうちに「やってはいけないドラテク」を実行してしまうことが多いです。これらのドラテクを理解し、改善することが、より安全で速い走行につながります。
第8位「1周に渡ってサーキットの真ん中を走ってしまう現象」
この現象は、特にサーキット経験が少ないドライバーに見られます。サーキットの理想的な走行ラインを無視し、真ん中を走ることで、理想よりも多くの減速が必要になり、コーナーの立ち上がりも難しくなります。これを防ぐには、サーキットのレイアウトを覚え、よりワイドにコース幅を意識して使うことが大切です。
第7位「ハンドルの握り替え/ジャグリング現象」
ハンドルを握り替えることは、特にコーナーでの安定性を損なう要因となります。初心者は、一般道の習慣でハンドルを握り替えてしまうことが多いですが、サーキットでは一度握った場所から手を動かさずに操作することが基本です。この習慣を身につけることで、よりスムーズな走行が可能になります。
第6位「特に低速コーナーでブレーキをしながら斜めにコーナーイン側へ向かっていく現象」
この現象は、特に低速コーナーにおいて、ブレーキをかけながらコーナーへ進入する際に発生します。多くのドライバーは、コーナーの手前でブレーキをかけると同時に、無意識のうちにコーナーのイン側へ斜めに向かって進入してしまいます。
このような進入ラインは、コーナーの半径を小さくし、旋回時に車両が不安定になる原因となります。結果として、コーナーの出口で加速が難しくなり、全体的なラップタイムに悪影響を及ぼします。
解決策としては、コーナーの進入ラインを意識し、ブレーキをかけるタイミングを見直すことが重要です。そしてブレーキをかけた後、しっかりとクリップを見て、コーナー出口では車を持って行きたい場所を意識してライン取りを行うことで、よりスムーズな旋回が可能になります。
第5位「ハンドルを強く握りすぎる現象」
ハンドルを強く握りすぎるという現象は、緊張からくるものであり、初心者に限らず上級者でも見られます。多くのドライバーは、ハンドルを必要以上に強く握りながら車両の挙動をコントロールしようとしますが、これは逆効果になることが多々あります。
この状態が続くと、腕や手が疲れやすくなり、運転中の集中力が低下します。フルブレーキング中に車両が震える感覚を感じる場合は、ハンドルを強く握りすぎているサインかもしれません。
改善方法としては、ハンドルを握る際の力を抜き、体全体の軸(体幹)を固定し、車両を操作することが大切です。背中、腰、太ももとシートの接点を意識し、体を軸にしてドライビングをすることで、腕の力を抜きやすくなり、より繊細なハンドル操作ができることで、自然かつ車が喜ぶ運転が可能になります。
第4位「シフトダウン早すぎ/シフトダウン遅すぎ現象」
シフトダウンのタイミングは、サーキット走行において非常に重要です。特に初心者ドライバーは、シフトダウンが早すぎたり遅すぎたりすることが多く見受けられます。
例えば、フルブレーキングを行いながらシフトダウンをする際、ブレーキをかけるタイミングとシフトダウンのタイミングが合わないと、車両のバランスが崩れてしまいます。これにより、コーナーへの進入が難しくなり、スピードを落とすこと、上手く旋回モーションへ移すことができなくなりがちです。
理想的には、ブレーキをかけてから、ある程度の速度まで落としてからシフトダウンを行うことが必要です。また、シフトダウンのタイミングを意識しつつ、ブレーキをかける前(速度が落ちていないうち)にシフトダウンすることは避けるようにしましょう。
第3位「低速コーナーで速度が速すぎ / 高速コーナーで速度が遅すぎ現象」
この現象は、ドライバーがコーナーの特性を理解していない場合に頻繁に発生します。低速コーナーでは、適切な低速度で進入できず、逆に高速コーナーでは必要以上に減速してしまうことが多いです。
低速コーナーで速度が速すぎると、減速が間に合わなくなり、コーナーを曲がりきれない危険性があります。一方、高速コーナーでは、ブレーキングが早すぎて、旋回速度が不足することで、一度失った速度を取り戻せなくなります。
これを改善するためには、コーナーの特性を理解し、事前に適切な速度を把握することが重要です。練習を重ねることで、各コーナーごとの理想的なアプローチ速度を見つけ出しましょう。
第2位「クリッピングポイントに付けない現象」
クリッピングポイントに付けない現象は、サーキット走行において非常に重要な要素です。この現象は、アウト・イン・アウトのライン取りにおいて、コーナーのイン側にしっかりとつけないことを指します。
この現象が起こる主な原因は、視線の送り方にあります。多くのドライバーは、クリッピングポイントへ意識して視線を送ることができず、結果的にラインを外してしまいます。
対策としては、ブレーキング開始後にクリッピングポイントを意識して、クリッピングポイント(クリッピングゾーン)へ視線を移すことが重要です。また、左右のコーナーでどちらか一方だけがクリッピングポイントに付けている場合もあります。この場合は、ドライバー個人の癖だけでなく、コーナーの見えやすさや着座位置が影響していることが多いため、注意が必要です。
第1位「旋回フェーズでハンドルを沢山切れない現象」
旋回フェーズでハンドルを沢山切れない現象は、特に低速や中速コーナーで多く見られます。この現象は、ドライバーが車速やタイヤのグリップに対する信頼感が不足していること(経験不足、信頼不足)が原因の場合が多いです。
ドライバーは、自身が抱く(現実よりも)低い限界を意識しすぎて、ハンドルを切ることに躊躇してしまいます。その結果、コーナーをうまく曲がれず、タイムロスにつながります。
この現象を改善するためには、まずは自分の車の特性や路面状況を理解し、信頼感を築くことが必要です。信頼感を築くことと並行して、思い切ってプラス15から20度ハンドルを切ることで、ドライバーの誤認により使い切れていない余分なタイヤグリップを感じることができ、よりスムーズな旋回が実現する場合が多々あります。
まとめ
サーキット走行における「やってはいけないドラテク」は、ドライビングスキルの向上に直結します。特にクリッピングポイントに付けない現象や旋回フェーズでハンドルを沢山切れない現象は、多くのドライバーが直面する課題です。
これらの現象を意識して改善することで、より安全で速い走行を実現できるでしょう。今後もこれらのポイントを意識して、サーキット走行を楽しんでください。
特別付録 ドラテク向上のコツ
ドラテク向上のためには、まず自分の走行スタイルを見直すことが重要です。特に、低速コーナーはドライバーが行うべきアクションが多く、ブレーキ、ハンドル、目線、グリップを感じるなど、沢山のアクションを同時進行で行わなければならず、非常に難易度が高いです。
その割には車速は低いわけですから(ブレーキングをただただ遅らせるといったトライを除けば)、割と安全にドラテク向上を目指せるタイプのコーナーと言えます。
また、実際の走行を通じてクリッピングポイントを意識し、適切な視線を送ることが大切です。練習を重ねることで、自身のスキルを確実に向上させることができます。
最後に、サーキット走行は楽しい経験です。安全を最優先にしながら、改善点を意識して挑戦していきましょう!