アクセルオンでありがちなミス
サーキット初心者やサーキット走行の経験が浅い方にありがちな誤ったドライビング操作のひとつとして、アクセルオンが粗いという事がよくあります。
我々プロコーチやレーシングドライバーがアクセルオンが粗いと感じるのはどういう時かと言いますと
タイヤグリップは加速、減速、左右を合わせて100しかないと第2回で説明しましたが
そのセオリーを知らずに、コーナーの出口でタイヤグリップの限界(100)を超えてアクセルをどんどんと踏んでいく場合にアクセルオンが粗いと感じます。
サーキットでのレーシングドライビングでは、アクセルを踏めば踏むほど速く走れるわけではありません。
また、ドライビングコーチをしておりますと、CP(クリッピングポイント)からはとにかくアクセル全開だと信じている人にも時々出会います。
車重、タイヤの種類、エンジンパワーは車ごとに異なりますので、アクセルオンの際にジワーとアクセルを踏むべき車もあれば、
一気にアクセル全開にしなければ速く走れない車もあるはずです。
二つ以上のドライビング作業のコーディネート
例えばコーナーの中では
- ハンドルを切る
- コーナーへ視線を配る
- アクセルを踏んでいく
といったように、複数のドライビング操作を同時進行で行う必要があります。
それらの各動作を指示するのはドライバー自身の脳ですが、サーキット走行の経験が少ない方や初めてサーキットを走る方の脳では
サーキットを高速で運転しながら複数の指示をタイミングよくコーディネートする事は大変難しい事であり、いきなり出来なくて当たり前です。
アクセルオンの粗さを直すコツ
コーナーの出口でアクセル操作が粗くなるというのは、コーナーの出口でタイヤグリップの限界(100)を超えてアクセルをどんどんと踏んでいく事と書きました。
それは下の画像の通り、CP(クリッピングポイント)以降でタイヤグリップがないところを使おうとする事を意味します。
では、どうすれば(加速方向)アクセルオンのためにグリップを生み出していけるかというと、ハンドルを真っすぐに戻していくに従ってというのが答えです。
言い方を変えると、横方向に100使っているグリップを99、98、97と減らしていくに従って、加速方向に使えるグリップが1、2、3と増えていくというイメージです。
そしてその加速方向に使えるようになったグリップ分に合わせてアクセルを踏み足していくことが重要です。
この、ハンドルを徐々に戻していく作業(マイナス方向の作業)と、アクセルを徐々に踏んでいく作業(プラス方向の作業)を脳内で同時進行でコーディネートする事は、特にサーキットでの走行経験が少ない方やサーキット初心者の方には難しい事のようです。
極端な例ですが、右手の人差し指と中指で重たい袋をひっかけ持ちしつつ、右手の残った指三本で生卵を割らないように握りつつ、早歩きし続けるのは難しいと思います。
重たいものを持つだけでしたら簡単ですし、生卵を握るだけでしたら簡単だと思いますが、脳に二つ以上の対極した行動を同時に指示させるのは難しいですよね。
アクセルオンの粗さを直すコツは、理論的なイメージを膨らませつつサーキットを実際に走り、経験値を積むに従って慣れていくことが一番の近道だと思います。
サーキット初心者必見!車で初めてサーキットを走るために知っておきたい8つのこと 第6回 「アクセルオンのコツ」は以上になります。
次回は サーキット初心者必見!車で初めてサーキットを走るために知っておきたい8つのこと 第7回 「更に速く走るためのブレーキング」 になります。
良いレーシングドライビングライフを!!